お金を払えば、必ずといっていいほど渡される領収証やレシート。受け取ってもすぐに捨てたり、そもそも受け取らなかったり、という人も多いかもしれません。
しかし、なかには捨ててはいけない領収証があります。後から「捨てなければよかった」、と思っても、領収証は基本的に再発行は難しいもの。あらかじめ知っておくのが得策です。
今回は、捨ててはいけない領収証について考えてみたいと思います。
領収証・レシートは、とりあえず受け取っておく
コンビニなどのレジには、不要レシートを入れる箱があり、中には何枚もレシートが入っていることがよくあります。このことから、レシートを受け取らない人が少なくないことが察せられます。
しかし、これらレシートはとりあえずすべて受け取っておくことをお勧めします。
なぜなら、何かトラブルがあった時の解決に役立つからです。
筆者が時々経験するのは、商品代金の間違いです。商品棚には割引価格が表示されていたのに、レジでは定価のまま、のような時に助かります。
また、買ったはずのモノが袋に入っていなかった、後からよく見たら不良品だったなどの場合。
レシートがその店で確かに買ったという証明になり、商品交換などの対応がスムースです。
このようなレシート類は、買物に問題がなければ翌月には処分しても問題ないでしょう。
食費や日用品費のレシートは月ごと集計を
家計管理に領収証・レシートは欠かせません。
とはいえ、家計簿を毎日つけるのは大変ではないでしょうか。
そんな時には、食費や日用品費など、品目ごとにダブルクリップなどにまとめて、最新のレシートにその日までの累計を書き入れていくと、「今までにいくら使っているか」が分かって便利です。
レシート・領収証で家計管理をしている場合にも、月の集計が終わったら処分してもいいと考えられます。
医療費の領収証は、持ち帰って保管
一方、しっかり保管しておくべき領収証として、医療費の領収証があげられます。
そして、領収証と同時に発行される診療明細書も同様に、受け取って保管しておくことをお勧めします。
主な理由は2つあります。
理由1:医療費控除が使えるかもしれないから
医療費控除とは、1年間の医療費の負担が高額になった場合に、税金を安くできる仕組みです。確定申告をすることで、所得税と住民税が安くなり、払い過ぎていた場合にはお金が戻ってきます。
高額な医療費とは、年間(その年の1月1日~12月31日)の医療費の自己負担が10万円、もしくは所得の5%を超える金額です。
この場合には、医療費控除が適用になる可能性があります。
そのため、ある日の医療費が安かったとしても必ずとっておき、年末には集計をしてみましょう。
集計には、病院への交通費(公共交通機関を利用)や、ドラッグストアで購入した医薬品も含まれます。
もし、医療費がそこまでの金額にならず、医療費控除の申告をしない場合には、セルフメディケーション税制が利用できるかもしれません。
セルフメディケーション税制は、1年間に1万2000円を超える対象医薬品を購入した場合に利用できる所得控除です。
対象医薬品は、胃腸薬や鎮痛剤など約7000にものぼり、レシートにもその旨記載されています。年1万2000円ということは、月当たり1000円です。
医薬品は自分だけではなく、生計を一にする家族の分も合算できますので、1年まとめれば対象になる人も多そうです。
セルフメディケーション税制を利用するには、その年に、 予防接種(定期接種、インフルエンザワクチンの予防接種)や、勤務先で実施する定期健康診断(事業主検診)を受けているなど、健康のための一定の取り組みをしていることも必要です。
確定申告の際、医療費の領収証は税務署に提出しなくてもよいのですが、自宅で5年間保管しておかなくてはなりません。
税務署から求められた時には、提示または提出しなければならないので、しっかり保管しておきましょう。
なお、通常の医療費控除とセルフメディケーション税制は併用できませんので、注意してください。
理由2:医療費の疑問を自分で調べられる
もうひとつの理由が、医療費に疑問があった時に、自分でも調べられることがあげられます。
いつもと同じ診療内容だったのに、なぜか安い、あるいは高い、という場合に、前回の領収証と見比べることで分かることがあります。
その際には、領収証だけではなく、診療明細書も確認してみてください。
保険診療は、診療報酬ルールにもとづいて、治療や処置ごとに点数が決まっています。
たとえば、熱が出たのでクリニックを初診で受診して、インフルエンザの検査を受け、処方箋を発行してもらった、という時の診療明細書の一例は下記のとおりです。
診療報酬の1点は10円ですから、この時の医療費総額は6440円。
3割の負担の人なら、1930円です(1円単位は四捨五入)。
もし、「薬はクリニックでもらったので、処方せんはもらっていない」など、おかしいな、と思うことがあったら聞いてみてよいと思います。
医療機関において、診療報酬の計算で間違いは滅多にないことでしょうが、なにごとも「絶対」はありません。
また、自分が受けた医療を確認することにもつながります。
そのほかの「捨ててはいけない領収証」とは
医療費の領収証のほかには、どんな「捨ててはいけない領収証」があるでしょうか。
原則として、確定申告などに使ったり、、経費精算したりする領収証は捨ててはいけません。
どの領収証が後から必要になるか、はじめのうちは見当がつかないかもしれません。
その場合には、ひとまず種類別にとっておくしかないでしょう。
ちなみに、インターネットで購入したものについては、後から必要に応じて印刷ができるので便利です。
とはいえ、買ったことを忘れてしまっては本末転倒。その心配があるなら、支払いの都度印刷して、通常の領収証と一緒に保管しておくと安心です。
領収証・レシートは、「いつ、何に、いくら払ったのか」を記録する大切な書類です。
しっかり管理しておきましょう。