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医療費を合算すればさらにおトク? 高額療養費制度の話(3)

高額療養費制度を利用すると、ひと月の医療費に上限額が設定されるので、比較的安心して医療機関にかかることができます。
この上限額、複数の医療機関での医療費を、合算して計算することができます。
つまり、合計で上限額に達していれば、高額療養費制度を利用できるということ。
ただし、合算にはいくつかルールがあります。69歳以下の人の場合を中心に見ていきましょう。

目次

医療費合算のルール1:69歳以下は1カ所2万1000円以上

69歳以下の人の場合、複数の医療機関に払った医療費はを合計するには、1カ所につき2万1000円以上であることが条件です。

たとえば、69歳以下の人が、あるひと月のうちに3つの医療機関にかかったとします。
内訳は、以下のとおりです。
A病院の外来を受診した医療費が5万5000円。
B歯科医院では4万3000円。
Cクリニックでは6200円。

この場合、A病院とB歯科医院はそれぞれ2万1000円以上ですから合算できますが、Cクリニックは2万1000円未満なので合算の対象になりません。
その結果、合算した医療費は9万8000円となります。

この人が、区分ウにあてはまる収入の人であれば、高額療養費制度が利用できます。

なお70歳以上の場合には、金額にかかわらず合算できます。

医療費合算のルール2:院外処方代は、医療機関の医療費に含む

ルール1をふまえると、69歳以下の人にとって、「1カ所」の範囲が気になるところです。せっかくならできるだけまとめて、2万1000円以上にしておきたいですね。

まず覚えておきたいのは、ひとつの医療機関の自己負担は、院外処方代を含むことです。
病院やクリニックを受診して、薬は処方箋をもらって院外の薬局で受け取る、という場合があります。この時、院外処方の処方箋を出した医療機関のぶんと、院外薬局で払ったぶんはひとつにまとめて計算します。

医療費合算のルール3:合算は、医科・歯科ごと

大学病院など大きな病院は診療科が多く、医科と歯科があれば、それぞれ受診することもあるかもしれません。
この場合、ひとつの病院にかかっているわけですが、高額療養費制度においては医科と歯科は別あつかいです。医科と歯科、それぞれで2万1000円以上にならないと合算できません。

医科については、複数の診療科の医療費を合計して、2万1000円以上であれば、他の医療機関の自己負担分と合算できます。
(内科・外科・産婦人科・眼科・耳鼻咽喉科がある、収容施設が100床以上あるなどの条件をみたす、いわゆる「旧総合病院」の場合)

医療費合算のルール4:合算は、入院・外来ごと

また、入院と外来も別あつかいです。
入院治療の前後に、同じ病院の外来を受診することはよくありますが、入院と外来は別なので、それぞれ2万1000円以上にならないと合算できません。

69歳以下の人の場合、合算できる医療費は以下のようになります。

入院は12万円なので合算できます。
外来の消化器内科と耳鼻科は合計2万2000円なので合算できます。
外来の歯科は1万8000円で2万1000円未満なので合算できません。
結果、合算した医療費は12万2000円となります。

医療費合算のルール5:同じ保険証の家族も合算できる

さらに、家族の医療費も合算できます。
ただし、同じ医療保険に加入していることが条件です。

50代の夫婦と20歳の子の家族の場合で考えてみましょう。
夫:会社員で勤務先の医療保険に加入
妻:夫の医療保険に、被扶養者として加入
子:妻と同じ
→この場合は、夫婦と子、それぞれの医療費を合算できます。
ただし、1カ所で2万1000円以上など、ルール1~4までを踏まえて合算します。

夫:会社員で勤務先の医療保険に加入
妻:夫とは別の会社に勤務しており、医療保険は夫とは別に加入
子:夫の医療保険に、被扶養者として加入
→この場合は、夫と子の医療費を合算できますが、妻の医療費は合算できません。
なお、夫と子が同居していなくても合算できます。

まとめ

ちょっと複雑な高額療養費制度の合算ですが、領収証をとっておけば落ち着いた時に見なおして計算することができます。
高額療養費制度の時効は2年。診療を受けた翌月初日から2年で、支給を受ける権利が消滅します。
活用できる制度は漏れなく利用していきましょう。

【ファイナンシャル・プランナー タケイ啓子】

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