高額療養費制度は、医療費の自己負担額に上限額を設定します。
ただ、上限額の計算には、収入区分によって「医療費総額」が必要です。
医療費総額は、「いくらかなのかわからない」と思われがちですが、実は領収証を確認すればすぐにわかります。
高額療養費制度の上限額は?
高額療養費制度の上限額を計算するには、まず収入区分を確認します。
そして、計算式のとおりに計算し、上限額を超えた分については払い戻されることになります。
下記の表を見てみると、年収約370万円以上の場合には、計算に「医療費」が必要ですが、これは保険診療の医療費総額のことです。
医療費総額は、保険点数の合計×10円
医療費総額を、会計で払った自己負担金額から計算するのはとても面倒。
実は、医療機関で受け取る領収証、もしくは診療明細書を見ればすぐにわかります。
領収証には、初・再診料や処置、検査など、項目ごとに保険点数が記載されています。
そして、保険点数の合計もまた明記されているはずです。
保険診療の場合、1点=10円ですから、保険の医療費総額は、保険点数合計×10円と計算できます。
高額療養費制度の上限額はひと月ごとに計算するので、同じ月の1~末日までの医療費を合計します。
たとえば、合計点数が4万5000点で、収入が区分ウの場合には、上限額は8万1930円です。
医療費総額=4万5000点×10円=45万円
8万100円+((45万円-26万7000円)×1%)=8万1930円
合計点数が4万5000点は、3割負担で13万5000円の支払いです。
窓口での支払い金額=4万5000点×10円×30%=13万5000円
しかし、制度を利用すれば上限額との差額、5万3070円が払い戻されます。
払戻の金額=13万5000円-8万1930円=5万3070円
上限額の式が意味するところ
高額療養費制度の式は複雑ですが、この意味するところは何でしょうか。
区分ウの上限額=8万100円+((医療費総額-26万7000円)×1%)
これは、区分ウの場合、医療費総額のうち26万7000円は3割負担(8万100円)、それを超えた分は1%の負担、という意味の式であることがわかります。
それが公平というものなのかもしれませんが、区分エ、オのように、金額で決まっているほうがわかりやすいのに…、と思わずにはいられません。
とはいえ、利用できる制度はしっかり利用したいもの。
区分ウの人は、ひと月の医療費の自己負担が、合計8万100円を超えたら、高額療養費制度の申請、と覚えておきましょう。
ファイナンシャル・プランナー
タケイ啓子